うわあ。動悸に似た、嫌なドキドキがする。
十二月にさ、1回城の外で、現実で、学校で会おうって話になったんだよ。
やっぱり、所謂“いじめの加害者”側もさ、自分がしたのがどういう事か分かってなさそう。
先生もだよ。肝心な所が、何も見えてない。名前すら聞きたくないっつってんの。
この辺さ、分からない人にはホント分からないのかも。だから、先生なのにどうとかいう話ではない。
ところでさ、いじめの定義って知ってます?
『相手が嫌な思い・辛い思いをする』それだけ。
だから、理論上は告白されて、それを振って、相手が辛い思いをしたらこっちはいじめっ子。でも、そんな細々言ってられない。
いわゆる生徒会でさ、市のいじめ対策サミットみたいなのに出たことあるんだ。
その時はいじめてる人はその事に気付けないだけかと思ってたけど。
いじめとかの最大の問題って、誰も、ホントに皆、気付けないことにあるのかも。
見てる人からすれば遊び、当事者からはいつものこと、先生からは知らないこと。
こうなっちゃえば、もう誰も気付かないでしょ?
でさ、学校、城で会った人はいなかった。
養護の先生がさ、「そんな生徒いない」って。二年のマサムネも、二年三組のフウカちゃんも、三年生のスバル君やアキちゃんも、一年生の嬉野ハルカ君も。
…っていうのが、ハワイにいて行けないリオン以外の全員に起きていた。なんだなんだ。