アレを耳鳴りって呼べるのかはちょっと疑問なんだけど。
たまーにあったんだよね、ちっちゃい頃…多分5歳ぐらいから。
ドッドッっていう音…多分耳の血管流れてる脈の音がして、それが汽車の音に似てるのかも。それを耳鳴りだってずっと認識してる。もしかしたらキーンって音もあったかもしれない。
遊園地にさ、楕円形のレールの上をぐるっと回るだけのトーマスのヤツあったりするじゃん。
あれみたいなヤツが、お母さんの実家の庭?にあるの。
そこってトーマスのアレの半分くらいの面積も無いような場所なのに、レールが汽車の前にいつの間にか出てきて、びっしり並んで。
最終的に、こっちに向かってくる。
汽車の見た目は分からない。
顔は無い、と思う。色は黒、かもしれない。
時間帯はいつも夜。多分夏。
耳鳴り以外の音は無い。あそこ田舎だから、夏の夜なんて音に溢れてるハズなんだけど。
…カエルの声、してたかも。それはそれで不気味だな。
夢、ともまた違うんだよな。
どっちかと言うと白昼夢とか、妄想とかに近い。にしては怖いけど。
布団に入って、若干眠たくなってきた頃に、脳裏にこの光景が出てきて、やっと湧いた僅かばかりの眠気が吹っ飛ぶ。というか、寝たくなくなる。
コエーんだよ。
ホラーとは別の不気味さがある。いじわる貨車が無言で突っ込んでくるみたいなイメージではあったんだけど、汽車以上のトーマス要素ない。
突っ込んでくるとか、こっちに向かってくるとか書いたけど、俯瞰してんだよこっちは。
俯瞰してて、それで自分の姿かたちは分からない。というか、無い、居ない、って言った方がしっくりくる。
なのに、向かってくる。突っ込んでくる。
なんか、そんなんがあるってだけの話。
おしまい。